GoToキャンペーンで稼ぐのは「売上」じゃなくて「信用」

GoToトラベルキャンペーン

11月末までほとんどのお部屋が埋まった。

土曜日に関しては、1月末まで販売できるお部屋がもう既に無い。

未だかつて経験した事がない程に予約が入ってくる。それも「何もしなくても」だ。

特に広告を打っている訳では無いし、季節限定特別プランを出している訳でも無い。

「GoToトラベルキャンペーン」

その破壊力は想像している何倍も凄かった。

4月・5月には真っ白だった予約台帳が今ではビッシリ。

もちろん、館内密を避ける為に予約は7割程度にコントロールしているのだが。

ある意味、今は「ヤク漬け状態」にされている”宿泊産業”。

どの旅館も目の前には美味しそうな人参がぶら下がっていて、それぞれがその”人参”を貪りつく様に取り合っている。

また、GoToキャンペーンのおかげで需要が爆上がりしているが、その反面色々とキナ臭いニュースも出てきている。

  • ホテルクレジット3万円分付きのプラン
  • グレーゾーンのコンパニオンパック付きプラン
  • 今までと何も内容を変えていないのに値段を爆上げしている施設
  • お客様と結託して給付金をせしめる人たち

などなど、キャンペーンにまつわる”黒い部分”が露出している。

僕らは今、何をしなければいけないのだろう?

目の前の「売上」よりも、大切なものを稼ぐチャンスなんじゃないのか。

”GoTo後”という危機感

「宿の実力ではない」

というのが、今の需要の正体である事を忘れてはいけない。

当館・富嶽はなぶさでも、露天風呂付きの高いお部屋から先に埋まり、今まで月に数件しか入らなかった高いプランが飛ぶ様に売れている。

GoToトラベルキャンペーンは、単価が高い方が割引率も高くなる。

ユーザー心理としては「せっかくだから高いプランにしよう」という気持ちになるのは当然だ。

だから高いお宿に人気が集中しているし、高いプランに需要が集まっている。

では、GoToトラベルキャンペーンが終わったらどうだろう?

「今の需要は綺麗さっぱり無くなる」

ハッキリと言う。断言したって良い。と言うか、旅行サイトにその答えはもう載っている。

1月末まで全部屋埋まっている宿も、2月以降の予約はスッカラカン。ウチもそうです。

正直今は、どこの旅館も目の前の予約をこなすのに精一杯だと思う。僕らも、日々たくさん頂戴する予約にスタッフ一丸となっておもてなしをしている。

人材を募集してもなかなか集まらない。そりゃそうだ、どこも忙しいのだから。

ただ、この”確変状態”も残念ながらキャンペーンの終了と共に終わる。

いわゆる「GoTo後」だ。

「GoTo後、どう言う風にやっていこう?」

多くの宿経営者が悩んでいる問題だと思う。

ボクは思う。

GoTo後に変化をさせるのではなく、需要がある今から動いていかないといけない、と。

では何を動くのか?

需要がある今こそ「信用」を稼ごう、と。

ユーザーを裏切る行為

前述した様に、施設側がユーザーを裏切る行動をしているのが目に付く昨今。

ホテルクレジットのニュースもそう。

先日ボクが宿泊したホテルも、明らかに定価の1.5倍に料金を上げていた。内容はそのままに。GoToキャンペーンを利用すれば、いつもの定価通りにはなるのだけどね。

少しばかりの道徳心があれば「これはやっちゃいけないな」と思うのだが、目の前に美味しそうな人参があれば我慢できない人間もいるのかな。。

「宿もお客様もWin-Winだから良いだろう」という軽い気持ちが、信用をあっという間に地に落とす。

今落としてしまった信用は、一体どこで回復させるのだろう。GoTo後はお客様は激減するのがわかっているのに。

僕らサービス業は、日々一人一人のお客様に真摯におもてなしをする事で「小さな信用」を少しずつ稼いでいる、と思ってる。

”また来たい”と思ってもらえるのは、小さな信用がちゃんと積み上がった時。

年に何度も旅行に行く人は少ない。だから、「また来たい」と思ってもらってもそれは来年の事かもしれない。

そして、接客・料理人・清掃・フロントなどスタッフ一丸となってせっせと稼いだ”小さな信用”も、失ってしまうのは一瞬。

「不信感=行きたくない」になるのは当然で。

大事に大事に獲得した「信用」を裏切るくらいなら目の前にある「売上」は要らない。

だから僕ら富嶽はなぶさでは、GoToトラベルキャンペーンが始まってからの値上げは一切していない。

ずっとやってきたプランで、そのままのお値段で、小さな信用をこれからも積み重ねようと思っている。

今こそ「売上」ではなく「信用」を得る

GoToトラベルキャンペーンによって、新規のお客様が増えている。

そして料理が自慢である富嶽はなぶさで、料理を一番満喫出来るプランが選ばれている。

今こそ僕らの腕の見せ所ではないだろうか。

新たな客層の方々に「やっぱり良かったね」って言ってもらえる様に。

高単価のプラン・料理で、「本当に美味しかったね」って言ってもらえる様に。

目の前にぶら下がった”人参”。ボクらは要らないな。

もちろん「安売りする」と言うことではなく、「価値あるものを、今まで通りのお値段でご提供する」と言うことですが。

国の偉い人が、「税金を使って信用を稼いで良いよ」って言ってくれてるのだから。

稼げる信用は、GoToトラベル期間中に稼ぎます。GoTo後に「定価でもまた来たい」と言ってもらえる様に。

そんな風に思った令和2年の秋の空。

スタッフにももちろんこの事を共有しているし、全員一丸となって「小さな信用」を積み上げよう!と燃えている。

GoTo後にしっぺ返しされない様に。頑張るぜい!