【カレー最強説】味の終着駅はカレーというお話

カレー最強説

世の中には様々な”最強説”がある。

  • カバ最強説
  • 相撲最強説

などなど。人は、何が一番なのかを決めたがる生き物。料理人の僕は、やはり料理についての最強説をよく考える。

僕には、学生の頃からふつふつと湧いている説がある。そして、歳を重ねるごとにその説は確信へと変わりつつある。僕とお酒を飲んだ事のある方はご存知だろうが、お酒を飲むとかなりの確率でその節を唱えている。

「カレー最強説」

この話をし始めると、「え?どこのカレーがオススメなの?」的な顔をされるのですが、全く違います。”カレーは強い”というお話です。

カレーの美味しいお店は、特に知りません。Googleの窓に「カレー 美味しい」と入れたら教えてくれます。

カレー最強説は、文字通り「食べ物の世界でカレーが一番強い」という説です。ですので、グルメ情報だと思ってここに辿り着いて来た方々、そういう事ですのでサヨナラ。

カレー最強説への気づき

高校時代から、飲食の仕事に携わっている僕。既に、生きている半分以上の年数を「食べ物」に捧げています。作るも・食べるも。

飲食どっぷりの僕が確信を持って言えるのは、「カレーが世界で一番”強い”食べ物」という事。”旨い”ではなく”強い”だ。

何度も言いますが、カレーは強い。強いはカレー。

以下は、大学時代のバイト先での話である。

釜飯と焼き鳥が推しの居酒屋で働いていた僕。バイト終わりに賄いが食べられるシステムだったのだが、大抵の場合は好きな釜飯を選んで食べる事が多かった。しかし、長く働いていると釜飯も一通り食べて飽きつつあり、みんなからの要望でキッチンの人間が色々と余り物の食材を使って賄いを作る事が多くなった。

  • 炒め物
  • 揚げ物
  • 煮物
  • パスタ

などなど、賄い作りはキッチンの人の腕試しの場にもなっていた。

しかし、忙しいお店だったので多くの場合は鍋。それも水炊きが多かったです。余っている食材を、鍋にブッ込んで火にかけるだけというお手軽な感じで、そしてポン酢で食べる。

ある時、いつもの様にキッチンの僕が水炊き鍋を作ったら「カレーが食べたい」とバイトの一人が言い出して、それに呼応するかの様に全員が「カレーが食べたい」と言い始めた。

何で作った後に言うねん・・と思いましたが、「まぁいっか」と言う感じで作った水炊きにカレー粉を入れ、片栗粉でとろみを付けて即興カレーを作った。

出来上がったものは紛れもなくカレーだった。水炊きは、あっという間にカレーへと変貌を遂げた。

カレー最強説の検証

上記の経験が、僕に「カレーは強い」と思わせる要因になったのは言うまでもない。

そして、どこまでカレーが強いのか、その目で見たくなった。

バイトの賄いを作る時に、まずいつもの様に”水炊き”を作った。その後、ホールトマト缶を入れて”トマト鍋”に。トマト鍋に豆乳を入れて”トマト豆乳鍋”に。トマト豆乳鍋にキムチを入れて、”トマト豆乳キムチ鍋”と順々に変化させた。

最後にカレールウを入れたらどうなったか?

きっちり「カレー」になったのだ。

「トマト豆乳キムチカレー鍋」にはならず、ただのカレーに変身した。

おさらいすると、

  1. 水炊き
  2. 水炊きトマト鍋
  3. トマト鍋トマト豆乳鍋
  4. トマト豆乳鍋トマト豆乳キムチ鍋
  5. トマト豆乳キムチ鍋カレー

だ。

最後は、流れを一切無視してカレーになった。

トマトも、キムチもカレーの一具材として変貌した。それまで大主張していた、あの「トマト」と「キムチ」がだ。一気にカレーにひれ伏したのだ。そして豆乳など見る影もない。

この夜の経験が、僕の中で「カレー最強説」を確信づけた。

他の料理からの考察

テレビでよくある、「2日目のアレンジ料理」などの特集。

  • 「一晩煮込んだ肉じゃがを、翌日にカレーにすると美味しい」
  • 「すき焼きが残ったらカレールウを入れると美味しい」

などと目にするが、至極当然の話である。

肉じゃがやすき焼きに限らず、ぶり大根だって、味噌汁だって、野菜炒めだってカレーに変身出来る。そして、カレーになれば全て美味しい。

「味の終着駅」はカレーなのだから。

全ての道はローマに続くという言葉を借りれば、「全ての料理はカレーに続く」。そして、一度カレーになってしまった食べ物は、二度と他の料理には戻れない。

「肉じゃがカレー」は可能だが、「カレー肉じゃが」は不可能。絶対にカレーの風味が残ってしまう。つまり、ブラックホールの様なもの。一度入れば最後、二度と抜け出せないのである。カレーブラックホール・・恐るべし。

「隠し味にカレー」という矛盾

「隠し味にカレー粉を入れました」と言われて出されたポテトサラダを食べると、全然隠れていないカレーがいる。もはや主役なのでは?と疑うほどの主張の強さ。

カレーは強いのです。

つまり、カレーが隠し味になる場合などこの地球上には存在しないのである。

例えば、定食屋のお冷を飲んだら「ん?なんかカレーの味する・・」みたいな事ありませんか?・・で、メニューを見るとカレーの3文字が。

お分りいただけますね?そうです、カレーとコップを同時に洗ったのだと推測されますよね。

カレーは強い。

例えば、住宅街を歩いていて、「あ、このお宅は煮物だな」という部分までは分かるが、筑前煮なのかぶり大根なのかまでは分からない。しかし、カレーなら一発でカレーだ。「このお家の夕食はカレーね」とすぐに分かる。

やはり、カレーは強い。

これだけの例を取っても、カレーの最強たる所以がわかるだろう。

カレーに勝る料理はもはや考えつかないのだ。どんな料理もカレーの前では為す術もない。白旗を上げるしかないのだ。

日本人は世界一の味覚など持っていない

カレー最強説が立証されると、もう一つの仮説が生まれる。

「世界一の舌を持つのは、日本人ではなくインド人」

どういう事かと言うと、「お出汁の繊細さが分かる日本人は、世界で一番味覚が優れている」と日本人はよく言いますよね。僕も同じように思っていたし、自分の舌にはそれなりの自信があった。しかし、ある話を聞いた時に、日本人の味覚よりも優れている民族がいる・・と思った。

「インド人は常にカレーを食べている」。我々日本人からすると、インド人のイメージは正にそうだ。実際に、インドに行った事がある人も同じように言っていた。しかし、日本人からすると同じカレーにしか見えないものも、インド人からするとそれぞれ違う料理なのだとか。

スパイスの配合により、料理として変わるのだそう。つまり、インド人はスパイスの変化を常に感じながら生活しているのだ。

外国人が煮物全般を全て「スウィート」と言ってしまうのを、日本人は煮物それぞれの味の違いが感じ取れる。

世界で一番の味覚を持つのは、

  • 出汁を見分けられる日本人
  • はたまたスパイスを見分けられるインド人

正確には分からないが、より強い味覚の違いを分かるのはインド人だと言う事を見れば、インド人に軍配があがるのかと。

終わりに

つまり総じて何が言いたいかというと、料理に失敗しちゃったらカレーにしちゃえば良いという話。

味付けが濃くなったとか、薄かったとか、なんか美味しくいかなかったとか、そうなったらカレー粉又はカレールウを入れたらカレーになり美味しくなる。

結局、カレーって美味しいから。スパイスって強いから。

そんな事を考えながら過ごしていたら、すっかり秋になりましたね。スパイスの効いたカレーが食べたいです。

スパイスカレーを自宅で食べるなら、ここのスパイスセットがおすすめ→電気屋料理人「SHINOZU STORE」スパイスセット

と、最後は謎のステマ。僕には一銭も入りませんが、一銭も入らなくても良いから食べてもらいたいスパイスカレーがそこには売ってます。

(右が電気屋料理人の忍さん。忍さんのスパイスは最強です)