どちらの価値が高いのか
時代の進み方が異常なほど早い。
この間流行っていたものはすぐに飽きられて廃れていく。
インスタ映えなんかもそうだ。もうインスタすら「ダサい」と言う風潮がある。Facebookなど完全に「ダサい」の代名詞。
時代を作っている若い子達におじさん達は付いて行くのに必死だ。
インスタからインスタストーリーズへ、ストーリーズからTikTokへ。
知識としては付いていっているが、行動としては全く付いていけていない。
それはSNSに限ったことでは無い。
音楽だって今はストリーミングが主流。Amazon MusicやGoogle Play Music、Apple Musicなどで何万曲も再生することができる。
僕は現在32歳。
時代の流れと共に音楽の聴き方が変わってきたのは実感している。
小学校の時はCDをテープに移して再生していた。それも8センチの小さいCDをだ。とんねるずの「がじゃいも」や、ミスチルの「イノセントワールド」をテープに移していたのは今だに覚えている。
中学に上がるとMDプレーヤーが流行った。そして僕も、それまでのテープからMDへと変化させていった。TSUTAYAでレンタルCDを借りてはMDに映す日々。
大学時代はiPodが全盛期。当時は一人一台必ず持っていたぐらい爆発的な流行り方。まだCDを買ってiPodに入れていた時代だ。
そこからiTunes Storeで音源を買うように変わり、携帯で音楽を聴くようになり、ストリーミングが主流になった・・と言う流れ。
かく言う私も、Amazon Musicに月々800円ほどのお金を払い始めてもう3ヶ月ほど。
3ヶ月やって見ての感想は「1曲の価値が少ない」と言う感じ。
どう言うことかと言うと、Amazon Musicは4000万曲が聴き放題なのです。どんなジャンルでもあるし、本当に簡単に再生できてしまう。
所謂1曲を手に入れる事が半端じゃなく楽なのである。
目当ての曲を検索してプレイリストにまとめて再生する。例えばアルバムの好きな1曲を選んでプレイリストにまとめる。そうすると、そのアルバムの他の曲は恐らく1度も聴かない事になる。別にそれはそれで良いのだが、その選んだ曲でさえ、何のアルバムに収録されていたのかとか、どんなジャケットのアルバムだったかとかは覚えていないのだ。
むしろ4000万曲もあるのだから、そんな情報を覚えていてはキリがないのだ。
そして最終的にその好きな1曲に、何の愛着もなくなる・・・と言う流れ。
皆はどうか分からないが、僕はその流れ。
昔を振り返ってみれば、8センチのCDなんかはジャケットも覚えているし、歌詞やアルバムの収録曲も覚えている。
何故か?
昔はその1曲に触れていた時間が長かったのだ。その分自ずと色々な部分を覚えていて、結果愛着が湧いている。カラオケで昔の曲を歌ってしまうのは、そんな理由なのかもしれない。
僕は去年、1枚だけCDを購入した。Hi-Standardのアルバムだ。
青春の思い出「ハイスタ」の18年ぶりのアルバムは即決で購入。と言うか、気づいたら買っていた。そして、アルバムを順番通りに聞くという、昔の音楽の聴き方を久しぶりに体験した。
久しぶりに1枚にアルバムを丁寧に何度も聴いてみて気づいたことがある。
「あれ?Amazon Musicで聴いてる数多くの音楽より、この16曲の方が濃密な音楽が聴けていないか?」
と言う事。
つまりストリーミングの曲は丁寧に聴いていないのだ。言うなれば雑に聴いている。
曲のアウトロを聴いていて「次はこの曲か」という予想もない。色々なディテールを省いた「1曲」となってしまっているのだ。
つまり何が言いたいのかと言うと、
- Amazonに800円払って4000万曲聴けるよりも、2000円払って16曲聴けた方がコスパが良いのではないか?
- 沢山のものを得てしまうと、どうしても1つ1つを大切にしなくなってしまうのではないか?
Amazon Musicから見る人間関係
これはもしかしたら人間関係でも同じ事が言えるのではないだろうか。
今の時代、人と繋がろうと思ったら簡単だ。
FacebookやTwitter、Instagramで相互フォローになってしまえば簡単にDMが送れてしまう。
以前は電話番号やアドレスを聞かなければいけなかったのが、今は名前を検索してポチッとボタンを押せばOK。
それぞれのSNSには「友達」や「フォロワー」と言う名の「友人」が増えていく。
僕もこの10ヶ月間、SNSを精力的にやってきた。そして様々な人と繋がる事が出来た。大多数が会った事がない人だ。
毎日「イイね」をしてくれたり、コメントのやり取りをして親交を深めてきた。一度も会ったことが無い人達とだ。
そして先日、僕が10ヶ月前に学んだエクスマ塾という、マーケティングのセミナーに初めて参加した。
(エクスマ塾については以前ブログを書いたので、そちらを→SNS投稿を2ヶ月本気でやってみた結果)
そのセミナーの参加者は約400人。毎日「イイね」をしてくれる方やコメントをくれる方の多くが参加していた。
そう、初めてリアルに会う機会を得たのだ。しかし全くの「初めまして」ではないところが面白いところ。
「初めまして。いつも見てます」という台詞がその日の定番の挨拶。そしてそんな事は初めての体験。
最終的には、ほぼ初めましての人達と朝の5時まで飲み明かすことに。
とても楽しかったし、充実した時間だった。
この体験で感じた事は「やはりリアルに会うというのは大切な事」
毎日コメントのやり取りをしていたって、1度の「会う」という行為には全く敵わない。
「SNSでの繋がりは、SNSでの繋がりでしかない」というのが経験を通した感想。
- 人と人が繋がりやすくなっている一方で、一つ一つの繋がりは希薄になっているのでは?
- その繋がりは「ブロック」や「フォロー解除」で途切れてしまうものでは?
- 手に入りやすくなった1曲の音楽を大切にしないように、繋がりやすくなった1人の人を大切にしないのでは?
沢山の情報を受け取れる事は、1つの情報の価値が下がるという事だ。
もしかすると人間関係もそうなのかもしれない。
その曲のアルバムジャケットが思い出せないように、その人の顔が思い出せないというのは同じ事なのかもしれない。
だから会うという事が大切
SNSはきっかけにすぎない。しかしながら大きな「きっかけ」である。
きっかけを作った後に会った時の繋がりは、完全な初対面よりも強い。何故ならすでに共通の話題なり関係が出来上がっているから。
希薄な繋がりを強固にするために会う。だからリアルに会う事が大切。
あなたには出来るでしょうか?初対面の人と朝の5時まで飲み明かす事が?
僕は出来ました。それも最高に楽しく。最高に愉快に。
SNSとリアルを交える事が非常に大切であると確信した夜。
旅館業もそういう関係をどんどん構築しなければならない。
SNSでお客様との交流を深め、会いにきてもらう。もしくは会いに行く。
これはもう絵空事でも何でもなく、実際にできる事だ。そしてやっていかなければならない事。
- 関係性を構築してファンを作る
- 「顧客」ではなく「ファン」を増やす
セミナーでの藤村先生の言葉がここで繋がった。
「アーティストになれ!顧客ではなくファンを作れ!」
身に染みる言葉だ。