”和食×ワイン”を形にした「はなぶさワイン会」が大盛況で終わりました!

先日、はなぶさ旅館主催で初めて開催した「はなぶさワイン会」。

18名の参加者が集まり、大盛況で幕を閉じました。

全て一品出しの会席料理と、和食に合わせたワインリスト。

色々初めてだらけで、うまくいかない事など多々ありましたが、お客様からの「楽しかった」「美味しかった」「また参加するね」という言葉で救われました。

当日の内容などを書き残しておこうかと。

はなぶさワイン会

1129日に開催した”はなぶさワイン会”ですが、会費は1万円と、田舎ではまぁまぁな金額を設定しました。しかも平日の18時半からという、こちらも参加者を選ぶ仕様。

「行きたかったけど時間が・・」などというお声も頂きました。また、次回以降からその辺りも考えていければなぁ、なんて思っています。

それでも18名の方が参加してくれたのは、今まで長盛隊でワイン会をずっと開催してきたから。だって8割が、長森隊ワイン会のリピーターでしたから。

やはり、何でも続けるという事は大事ですね。

価格に関してですが、主催者が言うのもなんですが・・・安いです。と言うより、メチャメチャ安いです。

  • 旅館で
  • その日だけの特別献立で
  • 全て一品出しで
  • ワインまでほぼ飲み放題

なんて、一万五千円くらいが相場だと思います。それが一万円。

”初めて価格”という事で設定しました。

それでも、価格以上の満足度を目指して、料理もワインも考え抜きました。

ワインはソムリエ8人で考えたワインリストで。

11月29日に開催する”はなぶさワイン会”。その試食会を行いました。 ソムリエ仲間6人と、僕と館主、合わせて8人のソムリエがワインリストを考えました。 流石に良いラインナップになったので、少しだけご紹介。

料理は、調理場4人がそれぞれ考えた特別献立で。

僕の”わがまま”が、ふんだんに散りばめられた会に出来たかなぁと。

協力してくれた、ソムリエの皆さんや、調理場のみんなには心から感謝しています。

ワインリスト

スパークリングは、フランス・ジュラ地方の「Cremant Du JURA」。シャルドネ100%です。

白ワインは、フランスのボジョレーヌーヴォ「Macon-Villages Nouveau」。品種はシャルドネ

白ワインもう一つは、ドイツの「Koster-Wolf」。品種はシルヴァーナ

赤ワインは、フランス「Mommessin Pinot Noir Perle de Griottes」。品種はピノ・ノワール。

赤ワインのもう一つは、中伊豆ワイナリー「中伊豆ワイナリーヌーヴォー2018 ヤマ・ソーヴィニヨン」。品種はヤマ・ソーヴィニヨン

ワイン会の献立

今回は、正統な和食の会席料理を柱にしながら、ワインに合うような内容にしました。

先椀は”蛤の沢煮風”

僕は、和食の「先椀」から始まる流れが好きです。

”お腹を冷まさないように”という、日本人の心遣いが。

乾杯のスパークリング「クレマン・ドゥ・ジュラ」に、蛤のニュアンスがピッタリでした。

胡椒を入れているのも、ワインに合うようにと。

前菜は、

  • 牡蠣のワイン蒸し有馬山椒 黒米
  • 柿なます 
  • 隠元と蒸し鶏の海苔和え
  • 卵黄西京一夜漬け 
  • カブ旨煮 鶏そぼろ餡掛け
  • 自家製唐墨炙り 大根 
  • 甘海老と雲丹のゼリーカクテル
  • しらすオリーブオイル 

 前菜担当の僕が、「これやってみたいなぁ」という料理をまとめたもの。

料理本に載っているものや、外食した時に食べた一品などを再現してみました。

牡蠣のワイン蒸しは、先日初めて伺った三島田町の和食屋「あまね」で出てきたお通しから考えました。

あまねでは、もち米を使っていましたが、僕は黒米を。そして、黒米に牡蠣の出汁を思いっきり吸わせた一品。

初めて作った時に、「うまっ!!」と思わず声が出た料理です。

刺身は、

  • 地金目鯛 松皮造り
  • 黒ムツ 焼霜造り
  • 由比桜海老 
  • バルサミコ醤油 燻製醤油 燻製塩 

全て駿河湾産の魚で用意したお造り。

普段使えないような高級魚が並びました。

そしてワイン会という事で、醤油をアレンジしてみました。

普通の醤油は一切出さないで、”バルサミコ醤油”、”燻製醤油”、”燻製塩”を用意しました。

お刺身は、どうしてもワインに合いづらいという一面が。生臭さが立ってしまう事がしばしば。

だから、必ず付ける醤油を工夫することに。

付けると、何故かワインとマリアージュしてしまう”バルサミコ醤油”、”燻製醤油”、”燻製塩”。

非常に好評で、「販売してくれ」と3人に言われました。

なので商品化に向けて動こうかと。また、それはお待ちくださいね。

蓋物は、”静岡美味鶏高野巻”

高野豆腐の粉でシートを作り、旨煮にした鶏肉と魚のすり身を合わせて高野豆腐のシートで巻いたもの。

はなぶさ旅館の望月料理長のスペシャリテで、全て手作りの一品。

贅沢に雲丹餡を掛けました。

当館の煮物は、メインにも出来るぐらい手が込んでいて美味しいです。手前味噌ですが。

ご来館の際は、煮物に注目して召し上がってみてください。

中皿は、”海鮮トマト煮パイ包み焼き”

赤ワインに合うように、と立てた献立です。

パイ包みにした中には、海老や烏賊、三島馬鈴薯などに、鶏ひき肉のトマトソースを合わせたもの。

ソムリエの一人が、「最初は洋食なのに、食べていくにつれてドンドン和食になっていく。不思議だ」と言っていました。

和風出汁を入れているからでしょうか。面白い意見だなぁと。

止肴は、”フォワグラ葛豆腐 梅肉ソース掛け”

吉野葛の中に大和芋を入れて練ったもの。

中には、フォワグラ・ウズラの卵・ミニトマトなどが入っていて、梅肉ソースで食べます。

お食事前の「口直し」の意味がある「止肴」なので、サッパリと。

意外と、中伊豆ワイナリーのヌーヴォ「ヤマ・ソーヴィニヨン」と合いました。

  • 食事は、”厚切りベーコンとアボカドの炊き込みご飯” 
  • 香の物は、”セロリの浅漬け 本山葵醤油漬け カブの漬物”
  • 止椀は、”茸の赤出汁”

ベーコンとアボカドの炊き込みご飯は、Twitterで見た時に「食べたい」と思ったもので、料理本を紹介してもらったのでやってみました。

ブラックペッパーが良い感じに効いて、最高に美味しいです。また、アボカドがバターみたいに感じるのが面白かったです。

香の物は、他に使った食材を活用しました。

コンソメ出汁を取るのに使用したセロリ、刺身の山葵に使う本山葵の茎、蕪の煮物に使った蕪の葉と皮。

食材は、常に大事に使うのが和食のココロだと思いますので。

料理人として一番大切にしなくてはいけないもの、それは「食材」である。 どこまで食材を無駄なく使えるか? 和食の素敵なところは「食材を大切に使うココロ」

止椀は、松茸・占地・榎・椎茸をふんだんに使って出汁を取った赤出汁。

田舎味噌は使わないで作りました。

何故か赤出汁も、中伊豆ワイナリーの”ヤマ・ソーヴィニヨン”に合うのです。ホント、マリアージュって面白いです。

デザートは、”ホワイトチョコのムース ベリーソース”

調理場一番の若手(と言っても僕の弟なのですが)が考えたデザートで、何やら本などで調べて作っていました。

かなり出来が良かったです。

ホワイトチョコとベリーソースの塩梅も良い感じで、こちらも何故か中伊豆ワイナリーの”ヤマ・ソーヴィニヨン”に合ってしまう一品。

というか、「デザート×ヤマ・ソーヴィニヨン」のマリアージュが、今回のワイン会一番のマリアージュでした。

全く想像していなかったものが合うのは、ビックリしますよね。

参加者の反応

やはり、イベントはコチラが考えていたようにはいかないもので、料理を食べるのが早かったり、ワインの好みが違ったりなど、色々ありました。

上に書いたマリアージュなども、やってくれる人と、全くやらない人と分かれますしね。

しかし、それはそれで良いと思いました。

それぞれが、それぞれの楽しみ方で楽しんでくれたら良いです。楽しんでもらうイベントなので。

  • このワイン、あまり美味しくない
  • もっとこんなワインを用意してくれ

などという声も言われましたが、僕らもあまり参加者の声を聞きすぎる必要もないなぁ、とも思いました。

ニッチなワインを知ってもらいたかったし、和食に合うワインがあるという事を知ってもらいたかったから。

”僕らがやりたい事に賛同してくれる人が参加してくれれば良い”

それで良いかなって。

あまり参加者の意見を聞きすぎて、自分達の好きなように出来なくなるのは良くないなぁと。

好きなワインが出なかったら、次は参加しなければ良い。

そのぐらいのスタンスで、これからも続けていこうかなと。

その代わり、僕らの面白いと思う事を詰め込みまくった会にしますので。

リピーターが8割という事は、賛同してくれている証拠だとも思いますしね。

終わった後に、「楽しかった」「またやる時は教えてね」「美味しかった」などの声をいただいて、やはりやって良かったと心から思いました。

参加してくれた皆さま、ありがとうございました。今後も、僕たちのやりたい事に賛同してくれると嬉しいです!

ちなみに、今回は調理場内でもかなり挑戦をしました。

そのチャレンジについては、次回のブログにて。かなり熱く書いてしまったので、2回に分けました。