「ちゃんとしたお浸しのレシピが知りたい」
つい最近、料理上手な方からSNSで直接コメントをいただいた。
なんとなく作っている”お浸し”。はなぶさ旅館の板前がちゃんとした作り方を紹介します。
重要なのは2つ。「下処理」と「薄味」である。
目次
副菜で食卓を華やかに
ご家庭の食卓を華やかにするには?
- 盛り付け
- 器
- 装飾
- 献立
などなど、多くの要素があるが、一番手っ取り早いのは料理の種類を増やす事だろう。
もちろん、盛り付けや器・装飾などは、華やかさに直結するのだが、あくまで「ご家庭で」という部分に絞って考える。
盛り付けで”華やかさ”を演出したい方は、下記のブログがオススメ。
さて、ご家庭で料理の種類を増やすには?
主食・主菜・副菜。
「副菜」を多くすると、自ずと食卓は華やかになる。豪華に見える。
学生時代に友人宅にお邪魔した際に、小鉢がたくさん用意されている食卓を見て、「豪華だなぁ」と思ったことがあるだろう。
そんな経験が無いのであれば、ご自分のお母さんに心から感謝をするべきだ。今、この瞬間に花屋へ感謝の花を買いに行くことを勧める。というか行け。
普段の食卓で、小鉢が沢山ある豪華な食事が出される家庭などごく少数で、「ご飯と味噌汁が基本セットで、主食にハンバーグとキャベツが一緒盛りになっているもの」ぐらいが普通。
ここに、副菜の小鉢が一つでもあったら?
食卓は少し華やかになるだろう。
料理はシンプルなものほど難しい
料理は、シンプルになればなるほど難しい。
例えば、日本料理の「お吸い物」。
昆布と鰹節で出汁を取った後、塩で味付けをして、薄口醤油で香りを足す。
全てを削ぎ落とした究極にシンプルな料理だ。故に腕の違いが出やすい。
味付けは、例えるならば「ストライクゾーンに球を投げ込むイメージ」
つまり、「美味しい」というストライクゾーンがあって、ど真ん中が「一番美味い」、内角高めでも「美味い」、外角低めでも「美味しい」という感じで、ストライクゾーンに入っていれば一応「美味しい」のだ。
ストライクゾーンを外れたボール球は「マズイ」となる。
いかにど真ん中に投げ込めるかが、プロの腕の見せ所。
しかしながら、なかなか真ん中に投げ込めない。高かったり低かったり、外角だったり内角だったりと。
そして、シンプルな料理ほどストライクゾーンは狭い。
今回ご紹介する「お浸し」はどうだろうか?
シンプルではないだろうか?
だから難しい。
”お浸し”のちゃんとした作り方はご存知?
「お浸しの作り方、書いて欲しいっす!意外とちゃんとした作り方知らない」
「え?そんなん需要あります?」
「あるある!プロから聞きたい!」
お料理好きの友人とのやりとりだ。
以前にも書いた事があるが、「料理人の常識は、一般の人の常識とは限らない」
いつも当たり前にやっている事も、主婦にとっては知らない事かもしれない。
根生姜は水に浸けて冷蔵庫に入れておく
これは板前の常識だが、一般の人の常識ではないようだ。
カピカピになって、ご家庭の冷蔵庫に眠っている根生姜が存在するのは、一般的な常識ではないから。
プロが普段作っている”お浸し”も、もしかしたら一般の方からすると「なるほど!」と思う部分があるかもしれない。
だから今回は、ちゃんとしたお浸しのレシピを綴っておく。
誰かの参考になればと。
お浸しは「下処理」と「薄味」が重要
お浸しを作る上で、重要な事は2つ。
- 下処理
- 薄味
この2点である。
以前、煮物のブログにも書いたが、料理で一番大事な事は「下処理」である。
素材のポテンシャルを引き出すには、素材に合った下処理を施す事が重要。
素材の、舌触り・風味・色味・・などを最大限に引き出してあげる。
味付けは、下処理が上手く出来てこそ。
2点目の「薄味」
料理の基本は、薄味に持っていくこと。
何故か?
料理は、足し算や掛け算は出来るが、引き算は出来ない。
「味が薄いから、もう少し醤油を入れよう」は可能だが、「味が濃いから、もう少し醤油を引こう」は出来ない。
もちろんピッタリが良いのだが、人によって味付けの好みはバラバラ。
薄味にしておけば、後で醤油を足すなどは出来るから。
お浸しも、薄いなぁと思ったら、醤油やポン酢をかければ良い。
だから、味付けは薄味に持っていく。
*ちなみに、極端に薄くてはダメ。”美味しい”のストライクゾーンの中の、”薄めの味付け”という意味。
上記を踏まえて、ほうれん草のレシピをどうぞ。
プロが教える、【ほうれん草のお浸し】
ほうれん草は、茎に十字に包丁を入れて、水に浸ける。
そうする事により、ほうれん草に付いている泥を落とし、ほうれん草にも水分が行き渡りシャキッとした食感に。
葉の方を持ち、沸いたお湯に茎を30秒、その後ほうれん草を湯に全て放ち20秒。
すぐに氷水に入れる。
よく水を絞る。(ここが大事。水分は出来るだけ絞る!)
- 出汁8
- 薄口醤油1
に漬ける。(出汁は、ほんだしを水に溶かしたものでも大丈夫)
漬け時間はお好みで。僕は30分ほどを目安に汁から上げる。
汁から上げたら良く絞る。
漬けすぎると濃くなって取り返しがつかなくなる。
足りなければ、醤油をかけてもらえば良いのだから。
しょっぱいお浸しを食べたいか?
漬け時間には、十分気をつけてください。
短パンビールPale Aleにもピッタリ!
先日販売され、3日で2400本が完売した「短パンビール」のPale Aleにもマリアージュする。
ほうれん草の苦味と、クラフトビール特有の苦味がマッチ。PaleAleの華やかさが際立つペアリングだ。
「短パンビール?」「短パンビールとのマリアージュ?」という方は、下記のブログをどうぞ!
シンプル故に、味付けが難しい”お浸し”。
だが、しっかりポイントを押さえれば大丈夫。
基本の「下処理」と「薄味」。これを忘れないように調理して欲しい。
さあ、”美味しい副菜”で、食卓を華やかにしよう!